3月初め、ビートルズにとって節目となる出来事が二つあったのだが、それは、BBCで放送されたこととブライアンからのプレゼントで、自分の利用しているテイラーに連れて行って、ステージやラジオではあったが放送用の揃いのスーツの採寸をしたことだった。


それはイメージ作りのためで、4人とも、ユルゲン・フォルマーJurgen Vollmerのボウル型のヘアスタイルを取り入れ、気に入ったキューバン・ヒールの靴を全員が選んだが、淡いブルーのモヘア織に、狭い下襟とぴっちりしたパンツというスーツは確かにほかの野暮ったいビート・グループは着ていなかった。


それでも、キャバーンではそのスーツを着させなかったし、次回のハンブルグ公演でも決して着させなかった。状況が変化していて、ブライアンは、逮捕されたが有罪にはならなかった男ホルスト・ファッシングHorst Faschingの訪問を受けた。
ハンブルグ出身でもっとも手ごわいやつだった。その男の話では、トップテンの公演はなくなるが、代わりに、マンフレッド・ワイスレダーManfred Weisslederという仲間が所有する、まだ改装中の新しいクラブでビートルズは演奏する、とのことだった。

契約締結のために、ホルストはブライアンに1000ドイツマルク札を押し付けた。ジョン、ポール、ピートの執行猶予期間が切れるところなので、彼らのビザを取得するため、ブライアンはドイツ当局の行政手続きを経る必要があった。
彼らは、すでにスタークラブthe Star-Clubという名前のついた新しいクラブの完成を待っていて、トニー・シェリダンTony Sheridanがこけら落としをすることは聞いているが、日付は知らない。
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しかし、トニーはリンゴ・スター抜きで行うのだろう。

なぜならリンゴの祖母が病気で亡くなり、今リバプールにいてそれに対応しているのだ。さらに、ハリケーンズには、バトリンのキャンプが6月にオープンするまで、フランスのアメリカ陸軍基地で演奏して、グループの面倒を見るという良いオファーがあった。

リンゴは、ハリケーンズに参加する前、ピート・ベストが病気だったり何らかの理由でショーに出られないとき、数回代理としてビートルズで演奏したことがあった。ビートルズのメンバーは今まで一緒に演奏した誰よりもはるかに高いレベルにあったので、リンゴはそのすべての経験を気に入っていたし、フランスに旅立つ準備をするちょっと前に、ビートルズが参加を要請していたのだ。リンゴはその招待に感謝したが、果たすべき義務があった。
