実は、カントリー・ソウルのちょっとした動きはすでに南部で起こりつつあった。これまで見てきたように、ウィリアム・ベルWilliam Bellの「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーターYou Don’t Miss Your Water」はすでにスタックス・レコードStax recordsから発売されていて(売れなかったが)、
![]()
ドット・レコードDot recordsは1月にアーサー・アレクサンダーArthur Alexanderのシングル「ユードゥ・ベター・ムーブ・オンYou’d Better Move On」をリリースした。

この曲はアラバマ州フローレンス(サム・フィリップスの故郷)の白人グループの合作で、何かレコーディングしたいと思ってカントリーとロックっぽいものに手を出したのだが、そのうち二人がリック・ホールRick Halとビリー・シュリルBilly Sherrillで、フローレンスのダウンタウンにあるドラッグ・ストアの上にスタディオを構えていたので、そういった曲を出したかったのだ。
アレクサンダーは地元のホリデー・インでベルボーイをし、このグループの数人と一緒に歌を作り、1960年に「サリー・スー・ブラウンSally Sue Brown」という曲を、メンフィスにあるジャド・フィリップスJud PhillipsのジャドJuddレーベルでレコーディングした。
![June Alexander – Sally Sue Brown / The Girl That Radiates That Charm – Vinyl (7", 45 RPM, Single), 1960 [r1513308] | Discogs](https://i.discogs.com/Elogk2IKWRQelfw4g2uicPrwSbmfUiwpcxTxt-N-7DE/rs:fit/g:sm/q:40/h:300/w:300/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTE1MTMz/MDgtMTY4OTUzMzIz/Mi03MzYzLmpwZWc.jpeg)
1961年夏、ダン・ペン&ポールベアラーズDan Penn and The Pallbearersをバックに、アレクサンダーは「ユードゥ・ベター・ムーブ・オンYou’d Better Move On」をレコーディングし、発売してくれる人を見つけようとリック・ホールがナッシュビルに持って行った。

それはカントリーとしては黒人色が強すぎたので、話を持ち掛ける価値のある黒人レーベルはなかった(エクセロ・レコードExcello recordsはまだブルースしかやっていなかった)が、だしぬけにドット・レコードDot recordsの人間が思い切って発売してみたところ、ポップ・チャートで24位というマイルドなヒットになった。
リック・ホールは、この取引で1万ドルを手にし、マッスル・ショールズに近い、町のすぐ外のかつてはたばこ倉庫だったところに建てたスタディオを完成させ、それをFAME、つまりフローレンス・アラバマ・ミュージカル・エンタープライズィズFlorence Alabama Musical Enterprisesと名付けた。
![]()
