エルビスは、最初の両面ナンバーワン・ヒット、「冷たくしないでDon’t Be Cruel」と裏面の「ハウンド・ドッグHound Dog」がこの年の後半のほとんどでラジオを支配し、「ラブ・ミー・テンダーLove Me Tender」に置き換わるまでチャートの1位だった。
特に長年にわたってエルビスに対するばかげた非難に照らして、注目すべきことが二つある。まず、ハウンド・ドッグのレコードはウィリー・メイ・ソーントンWillie Mae Thorntonの曲のようには決して聞こえず、メロディもテンポも全く違う。
二番目に、「冷たくしないでDon’t Be Cruel」は、ボーカルの叫び声とジョーダネアーズThe Jordanairesのバック・コーラスがフィーチャーされている。
ジョーダネアーズはエルビスがメンフィスで称賛していた白人のゴスペル・カルテットで、しばらくは彼のレコードに登場することになる。
サム・フィリップスSam Phillipsもエルビスとの契約金売却で得たお金が豊富にあったので、名曲をいくつか売り出した。
カール・パーキンスの「ボッピン・ザ・ブルースBoppin’ the Blues」と「ディキシー・フライドDixie Fried」はロカビリー色が強い名作で、サニー・バージェスSonny Burgessの「ウィー・ウォナ・ブギWe Wanna Boogie」、そして人種差別主義者ギリギリのウォーレン・スミスWarren Smithの曲、「ウバンギ・ストンプUbangi Stomp」は少なくともロックンロールに関しアフリカ人を称賛している。