チップスは、1956年後半にボーカル・グループがこのマーケットに殺到する中で、控えめに言うと変わり種だった。
特にシカゴで盛んだったのだが、その理由はたぶんチェス・レコードChess recordsとビージェイ・レコードVee-Jay recordsが、このような曲をいかに安くレコーディングするかを知っていたからだろう。
フラミンゴスThe Flamingosはこの年から(チェスで)最初のヒットを2曲出し、ムーングロウズThe Moonglowsも成功し続けた。
ビージェイは、1953年以降小さなレーベルでレコーディングしていたがうまくいかなかったデルズThe Dellsを、「オー・ホワット・ア・ナイトOh What a Nite」で世に出し、そのキャリアは1990年代まで続いた。
モダン・レコードModern Recordsも、今やクリークスThe Cliques(実はジェシー・ベルビンJesse Belvinが自分の声を多重録音していた)でボーカル・グループを扱っていて、カデッツThe Cadetsのノベルティ・ソング、「ストランデッド・イン・ザ・ジャングルStranded in the Jungle」は夏中ヒットし続けた。
ニューヨークのアトランティック・レコードAtlantic recordsでは、オーナー達(特にジェリー・ウェクスラーJerry Wexler)がボーカル・グループを全然好きでなかったが、このスタイルで画期的な仕事を何とか成し遂げた。
アトランティックには、この分野における名曲の一つ、「デビル・オア・エンジェルDevil or Angel」をリリースしたクローバースThe Cloversによるヒット曲があったし、入れ替わりが激しく二度と同じメンバーにはならないようなドリフターズThe Driftersは順調だった。
しかし、アトランティックにとっての本当の衝撃はロサンゼルスからやって来たのだが、そこではリーバー&ストーラーLeiber and Stollerが、最もティーンエイジャー向けの楽曲を歌えるグループを探していて、ロビンズThe RobinsとカデッツThe Cadetsのメンバーを連れてニューヨークに移り、コースターズThe Coastersを結成した。