その春先、大佐はラス・ベガスのニュー・フロンティア・ホテルNew Frontier Hotelから、ビーナス・ルームVenus Roomでエルビスが演奏するオファーを受け取ったが、これが、エルビスの経歴における最初のつまずきになった。
エルビスを見に来た数人が、見たものが何かわからず、エルビスはかつてないほど緊張したのだ。2週間経ち、契約の終わりになってリラックスできるようになったのだが、ティーンエイジャーのコアの観客(ラス・ベガスにはティーンエイジャーもいた)は、彼を見るために入場することはできなかった。エルビスに起きた最大の出来事は、たぶん彼の前座を務めたフレディ・ベル&ベルボーイズFreddie Bell &The Bellboysで、このグループはすごく活発に動く集団で初期ロックンロール映画のいくつかにも登場している。
彼らの演奏した曲のうちの一つが、ウィリー・メイ・ソーントンWillie Mae Thorntonのハウンド・ドッグHound Dogをアレンジしたもので、オリジナルとは似ても似つかなかった。
エルビスはこの曲を知っていたが、このアレンジをとても気に入った。「我々は彼らからそのまま盗んだ」とスコッティ―・ムーアScotty Mooreは認めた。
ニューズウィーク誌Newsweekは、エルビスの登場をシャンパン・パーティーにおける一杯のコーン・ウィスキーと例え、バラエティー誌Varietyは、彼を酷評した。
しかしエルビスは成功する。