ロックンロールの歴史 49

レナード・チェスLeonard Chessがたまたま町にいて、前年にビハリ兄弟The Biharisがしたようなスカウト遠征をし、この曲を聞いた。

Leonard Chess | Rock & Roll Hall of Fame

Jackie Brenston – Rocket 88 – CD (Compilation), 1991 [r4505035] | DiscogsRocket 88 - Wikipedia

これはヒットすると思い、その場でフィリップスから買い取り、他に売り物のマスター盤があるかどうかを尋ねた。実は、フィリップスは持っていた。それは、ターナーが見つけた非常に珍しい演奏者で、アーカンサス州ウェストヘレナ出身の巨漢の41歳元農家によるレコードで、一生ブルースを歌い、若いころにチャーリー・パットンCharley Pattonと一緒に旅したことがあった。

ブルーズ入門 : ミシシッピ・デルタ・ブルーズの開祖」Rough Guide to Charley Patton : Charley Patton /  ラフ・ガイド・トゥ・チャーリー・パットン : チャーリー・パットン - Shin 音と音楽と日常

チェスター・バーネットChester Burnetはギターとハーモニカを演奏したが、本当の持ち味は声で、サム・フィリップスは、これを「人間の魂が決して死なないところ」と印象的に表現し、バーネットの芸名ハウリン・ウルフHowlin’ Wolfの信憑性を高めることになった。

Chester Burnett | Spotify

彼の演奏は恥ずかしげもなく古風だったが、若い演奏者で構成されたバンドを維持していたので、世代を超えて受け継がれた。チェスはフィリップスの持っていたレコードを受け取り、シカゴに持ち帰った。チェスが選ばなかったレコードは、サムがモダン・レコードModern recordsに送った。
それから、ある人にとっては残念なことが起きた。「ロケット・エイティエイト」が、その名の通り、上昇して軌道に乗ったのだ。ビハリ兄弟は不愉快だった。その理由は1951年最大のヒットの一つが、最初に自分たちのところに提案されずに、最大の競争相手にそのまま売られてしまったからだ。アイク・ターナーも不愉快だったのは、このレコードが、アイク・ターナー&ヒズ・キングス・オブ・リズムIke Turner and His Kings of Rhythmの名前でなく、ジャッキー・ブレンストン&ヒズ・デルタ・キャッツJackie Brenston and His Delta Catsの名前で発売され、ジャッキー・ブレンストンがフィーチャーされたことだった。

IKE Turner & His Kings of Rhythm - Ike's Instrumentals CD in El Salvador at  USD 57, Rating: 5Jackie BRENSTON & His Delta Cats - The Blues Got Me Again - Singles  1951-1962

この結果、ビハリ兄弟はフィリップスや彼のスタディオとの取引をもうこれ以上するのは止め、ターナーもフィリップスやチェスとの取引を止めた。チェス・レコードは、全面的勝利をおさめてフィリップスとの関係を維持し、まだ気が付いてはいなかったが、ハウリン・ウルフという、今後何年もレーベルを支えることになる重要なタレントを手に入れたのだ。一方で、ビハリ兄弟は、BBキングをぜひレコーディングしたかったが、町にはサムのスタディオしかなかった。確かに、アイク・ターナーとのつながりがなければ、他に選択肢はなかったが、アイクは黒人YMCAに立ち寄り、ビハリ兄弟にレコーディングする場所を見つけたと話した。

Black History Month traces its origins to a Chicago YMCA - CBS NewsWest Side YMCA/YWCA Complex

ジョー・ビハリJoe Bihariはテープ・レコーダーを2台引っ張って町に来て、アイクは体育館の壁に掛ける毛布をたくさん見つけ、二人は録音に取りかかった。

Joe Bihari, Who Put Early R&B on Record, Dies at 88 - The New York Times

BBはローウェル・ファルソンLowell Fulsonの古い曲「スリー・オクロック・ブルーシーズThree O’Clock Blues」など数曲をレコーディングし、アイクはピアノを弾き、YMCAが部屋を戻せというまで、ビハリもジョニー・エースJohnny Aceやボビー・ブランドBobby Blandなどアイクが推薦した地元の人たちと一緒にセッションに参加した。

3 O'clock Blues - Album by Lowell Fulson | Spotify78 RPM - Lowell Fulson - Three O'Clock Blues / I'm Wild About You - Down  Town - USA - 2002

Amazon.co.jp: Collection 1952-55: ミュージックBobby Blue Bland - Greatest Hits Vol.1 | NEWTONE RECORDS

ジョーはテープ・レコーダーを片付けてロサンゼルスに向かい、「スリー・オクロック・ブルース」を年末に向けてリリースした。B.B.はすぐにそのことを忘れてしまったが、ビハリが送った電報にはこの曲が10万枚売れ、まだ勢いを増しているとあった。

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