2-8.イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイトIn The Still Of The Nite-ファイブ・サテンズThe Five Satins(フレッド・パリスFred Parris)
56年2月26日録音、56年3月スタンドードStandordのシングルとして発売、56年5月エンバーEmberのシングルとして再発売:R&B3位、ポップ24位。再発売59年12月再発売:ポップ81。再発売60年12月再発売:ポップ99位、60年12月再発売:ポップ99位
伝説の『地下室のテープ』になると、ボブ・ディランBob Dylanはファイブ・サテンズに太刀打ちできないのだが、それはこの曲がとても良いからだ。全く素晴らしい粗削りの録音で、この空前の名曲を録音した時、マンハッタンとジャージーシティを結ぶホランドトンネルの真ん中で録音したように聞こえ、一般的には(「アース・エンジェルEarth Engel」と並んで)史上最も人気のある2曲のうちの1曲と考えられている。
最近になって初めてこの曲のオリジナル・セッションのテープを発見したので、この全集で今まで最高のサウンドを実現できたと考えているが、とても粗削りな録音なので、できることは限られている。サテンズは1955年にニュー・ヘイブンで結成され、1956年の最初のリリースは地元のちっぽけなスタンドード・レーベルStandord(スタンダードStandardではない)labelで、今までにリリースされた中ではおそらく初めてのア・カペラ・ドゥーワップ・レコードだった。なぜかシングルの1面はインストがオーバーダビングされたが、もう1面(「オール・マインAll Mine」)はされなかった。
スタンドードにおける2枚目のリリースのお勧めは、アップテンポの曲の「ザ・ジョーンズ・ガールThe Jones Girl」だったが、それはB面になり、「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」のレコードがニューヨークにあるヘラルド/エンバー・レコードHerald/Ember Recordsの目に留まった。
同社はそのマスター(そしてグループ)を春に買収し、夏にゆっくりではあるが着実にされた後、この曲は秋にポップとR&Bの両チャートに入った。このレコードは良く売れたが、今日の人気を考えれば、きたしたほどのビッグ・ヒットにはならなかった。最初の「オールディーズ・バット・グッディーズOldies But goodies」のLPに入るとこの曲への関心を実際に復活させ、50年代の終わりと60年代の2回にわたってリリースされて(ある程度の順位で)チャート入りした。
ファイブ・サテンズ(「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」で登場するのは4人しかいないと分かるが)は、その後2年間エンバーで数多くのレコードを出し、1957年に別のボーカリストのビル・ベーカーBill Bakerと一緒に、ビッグ・ヒット曲の「トゥ・ディ・アイルTo The Aisle」を出した。
パリスは60年代と70年代にたくさんのグループとともにレコードを出し続け、70年代半ばにはブッダ・レーベルBuddah labelからブラック・サテンBlack Satinというグループと一緒に再びチャートインした。