そして次はリトル・リチャードLittle Richardで、元R&Bサクソフォン奏者のジョー・ルッチャーJoe Lutcherから、次第に圧力を受けていたが、ジョーは改宗経験があり今はポップ・ミュージシャンに世俗の生き方をやめるように福音を説いていた。

10月、ロシアがスプートニク人工衛星を打ち上げ大ニュースになった時、リチャードと彼のバンドはオーストラリア・ツアー中で、リチャードは飛行機から人工衛星を見たとか、「まるで大きな火の玉がスタジアムのすぐ上、頭上200~300フィートのあたりに来たように見えたと主張した。心が揺さぶられた」と叫んだ。
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あまりに激しく揺さぶられて、リチャードはその晩ショー・ビジネスをやめることを決断した。翌日、記者会見で「もし神のために生きたいならロックンロールはできない。神はそれを嫌っている」と発表した。サックフォン奏者のクリフォード・バークスClifford Burksは、シドニー港を渡ろうとフェリーに乗った時、そのことについてリチャードをからかうと、リチャードは真剣さを表すために、8,000ドルの価値ある指輪を外し川に投げ入れた。

その日のツアーはキャンセルになり、ジーン・ビンセント&ブルー・キャップスGene Vincent and The Blue Caps、アリス・レズリーAlis Lesley(「女エルビス」)など同行していた他の出演者は困り果てて帰国し、アート・ループArt Rupeからは訴訟を起こされたり厳しい言葉を投げかけられたが、リチャードは聖書神学校に入り、何も話そうとしなかった。
![ジーン・ヴィンセント&ヒズ・ブルーキャップス[CD] - ジーン・ヴィンセント&ヒズ・ブルー・キャップス - UNIVERSAL MUSIC JAPAN](https://content-jp.umgi.net/products/ui/UICY-77344_Ief_extralarge.jpg?12052017120004)
![Art Rupe – In His Own Words: Art Rupe - The Story Of Specialty Records – 2 x CD (Compilation), 1998 [r13284882] | Discogs](https://i.discogs.com/tlQ18rO6v2vP4kUbJnbhniQkre2CU-Tw24Qs-SgUK6c/rs:fit/g:sm/q:90/h:600/w:599/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTEzMjg0/ODgyLTE1NTEzNzQ5/MTItNTIwMS5qcGVn.jpeg)
エルビスは、自分が崇拝していたスタンプス・カルテットThe Stamps Quartetとたいして違わないグループ、ジョーダンズThe Jordanairesと黒人霊歌を歌い、ポップ・レコードと並行してリリースしたが、そのような自由を誰もが持っていたわけではない。

事実、4月には、バラードの入った「ジャスト・フォー・ユーJust for You」と、「ピース・イン・ザ・バリー(There’ll Be)Peace in the Valley(For Me)」の2枚のEP盤をリリースし、そのタイトル・トラックはポップ・チャートで25位に入った。

