第9章 1957年 驚異の年1
時として、力が集中すると、驚くべき文化衝突が一年の間に起こることがある。その事象の前には揺れがあり、後には余震があるかもしれないが、その年には信じられないような風景の中を通って、初めて列車の旅をしているようなものだ。1957年はアメリカ文化にとって、そういった年のひとつだった。この年に起きた顕著な事柄をざっと見れば、そのことが分かる。文学では、ジョン・チーバーJohn Cheeverのザ・ワップショット・クロニクルThe Wapshot Chronicle、
ウラジミール・ナボコフVladimir NabokovのプニーンPnin、
ジャック・キロウクJack Kerouacのオン・ザ・ロードOn the Road
(ドクター・スースDr.Seussのザ・キャット・イン・ザ・ハットThe Cast in the Hatと、ハウ・ザ・グリンチ・ストール・クリスマスHow the Grinch Stole Christmasがしたように)が登場し、
アレン・ギンズバーグAllen Ginsbergのデビュー詩集、ハウル・アンド・アザー・ポエムズHowl and Other Poemsが、サンフランシスコのシティ・ライツ・ブックストアCity Lights Bookstoreから押収された。
画期的わいせつ裁判の初めだった。ブロードウェイでは、レナード・バーンスタインLeonard Bernsteinのウエスト・サイド・ストーリーWest Side Storyが初上演された。
1957年のジャズ・アルバムはどれをとっても、才能にあふれたものだ。マイルス・デイビスMiles Davisだけで、「バッグズ・グルーブBags’ Groove」、
「バース・オブ・ザ・クールBirth of the Cool」、「クッキンCookin’」、
「リラクシンRelaxin’」、「マイルス・アヘッドMiles Ahead」、
そして、「ラウンド・アバウト・ミッドナイト’Round About Midnight」をリリースした。