ロックンロールの歴史 135

しかし、ロックンロールは、エルビスを筆頭に間違いなくこの年に流行した。彼がミルトン・バールMilton Berleの番組に登場したことが何かの引き金になったようだ。

Elvis Presley | The Milton Berle Show | April 3, 1956

4月3日の最初の出演はうまくいったが、6月になると、それまで無視していた批評家たちが彼を追いかけ、ニューヨークのジャーナル・アメリカン誌Journal-Americanの批評家ジャック・オブライエンJack O’Brienは、「彼は少しも歌えず、先住民の求愛ダンス一歩手前の奇妙で露骨に考えられた思わせぶりな動作を用いて、ボーカルの欠点を補っている」と言っている。エド・サリバンEd Sullivanはエルビスに関するマスコミの悪評を読んで、あまりに挑発的なので自分の番組に登場させられないと言ったが、そのことで最大のライバル、スティーブ・アレンSteve Allenは、7月1日日曜日のサリバンと同じ時間に、自分の番組に登場させる気になった。

Steve Allen | Our Daily Elvis

アレンはロックンロールが好きということではなかったが、ルーティンのひとつとして、ギャグの効果を狙い「トゥッティ・フルッティTutti Frutti」や「ビーバッパルーラBe-Bop-A-Lula」などの歌詞を読んだ(実際に朗読する)。

そしてアレンはエルビスをあまり好きではなかったようで、タキシードを着させシルクハットをかぶらせ、「ハウンド・ドッグHound Dog」を本物のハウンド・ドッグに向かって歌わせた。

In The Rock 1956年7月1日: エルビスがThe Steve Allen Showに出演し、タキシードを着て生ハウンドドッグ をセレナーードする「Hound Dog」を披露。Oh Ste #Elvis #HoundDog #RockHonorRoll

しかし、ライバル関係にあった二人の間で、初めてアレンがサリバンに視聴率で完勝した。サリバンはプライドを捨てて、5万ドルで9月から3回登場することを申し出た。相手の良い戦略は取り入れるのが得策だ。