ティーンエイジャー市場の利益が大きいことは確かだが、すべてのポピュラー・ミュージックがティーンエイジャーを狙っていたのではなく、最も顕著だったのは黒人社会だった。BBキング B.B.Kingはティーンエイジャーのリスナーがいなくても成功していた。
彼の1956年の大ヒット曲は、「スウィート・リトル・エンジェルSweet Little Angel」という素敵な曲で、羽を広げる天使にまとわる二重の意味を持つ歌詞だ。
そしてチェス兄弟はティーンエイジャーが10年近く発見しないようなレコードを作っていた。ハウリン・ウルフHowlin’ Wolfはレコーディング・バンドを結成したが、そこにはウルフがまだアーカンソーにいた時に出会った、優美な顔立ちの若者ヒューバート・サムリンHubert Sumlinがいた。
サムリンはウルフのバンドに欠けていた人材であったと分かったのだが、ウルフはそのことを決して認めようとはせず、ウルフ自身はそれほど上手なギタリストではなく、リード・ギターをあまり使いこなせていなかった。サムリンはリード・ギターを演奏して、ウルフに合わせてリズムをとることができ、ほとんどオーケストラのような音作りをした。ウルフの1956年のビッグ・ヒットは「スモークスタック・ライトゥニンSmokestack Lightnin’」で、今まで誰も作ったことのないような、圧倒的でありながら謎めいたレコードだった。
何を扱った曲なのか?うまく表現するのは難しいが、奇妙なフレーズとおかしな拍子を打ちながら、この歌はよろめきつつ3分間進み、ウルフは歌詞をわめき、言葉の無い時には吠え、最後は、懐かしいメンフィスのインストゥルメンタルのお気に入りの曲、「キャッツ・スクワーレルCats Squirrel」のように聞こえるハーモニカ演奏で締めくくった。そして、もし万が一ウルフにちょっかいを出せると思う人がいるといけないので、念のために言っておくと、この年の彼の次のヒット曲は、「アイ・アスクト・フォー・ウォーター(シー・ゲイブ・ミー・ガソリン)I Asked for Water (She Gave Me Gasoline)」で、タイトルが意味するのとまったく同様に有害なものだ。