若者はどうやらもっと活気のある曲を好むらしく、リトル・リチャードが4月に両面ヒットさせたA面「ロング・トール・サリーLong Tall Sally」、B面「スリッピン・アンド・スライディンSlippin’ and Slidin’」は、熱狂的なだけでなく変わっていた。
A面の歌詞はリチャードのゲイ・バーの演奏から生まれたことは十分考えられる。ジョンおじさんは、メアリーおばさんに隠れて、魅力的な女といちゃいちゃしてる。続いて、「リップ・イット・アップRip It Up」、B面は「レディ・テディReady Teddy」という、アップ・テンポの曲を2曲出した。(これで彼はロックンロールをやるつもりだと宣言した。)
ファッツ・ドミノは、ファット・マンFat Manとほぼ同じくらいアップ・テンポの「アイム・イン・ラブ・アゲインI’m in Love Again」で、ついにトップテンの上位に食い込んだが、このレコードの裏面は、彼の将来を予感させるものだった。
それは、昔のスタンダード曲、「マイ・ブルー・ヘブンMy Blue Heaven」で、かなりヒットした。
ファッツは年末まで、まず「フェン・マイ・ドリームボート・カムズ・ホームWhen My Dreamboat Comes Home」、秋には「ブルーベリー・ヒルBlueberry Hill」と立て続けにスタンダードを連続して出し、この曲は、あまりにドミノにぴったりだったので、1940年のグレン・ミラーのレコードに遡ることが分かった人はほとんどいなかった。