ロックンロールの歴史　79

チェス・レコードChess recordsは、ボーカル・グループ以外のブルース・アーティストの発掘に、より強い関心があったが、ボーカル・グループの人気には抗いきれず、また、アラン・フリードのそばにいるためにクリーブランドに移ったシカゴのグループ、ムーングロウズThe Moonglowsを獲得したのは良い措置だった。

なぜなら、「シンシアリーSincerely」は、1954年後半ヒットし、グループとフリードとが関係を持っても、レーベルとフリードの関係には悪影響を及ぼさなかったからだ。

話は西に移るが、生まれたばかりのドゥートンDootoneレーベル（レッド・フォックスRedd Foxxのグループによるコメディ・レコードからも収入を得ていたドゥーツィー・ウィリアムズDootsie Williamsがオーナー）は、ペンギンズThe Penguinsの「アース・エンジェルEarth Angel」を発売したが、この曲は今までにないほどうまくハーモニーを分厚くして、全国ヒットとなった。

54年にはどこからともなく二つの名曲が現れ、オーディションに出場したたくさんのボーカル・グループが歌うこととなる。「ア・サンデー・カインド・オブ・ラブA Sunday kind of Love」を歌ったハープトーンズThe Harptonesは、少なくともニューヨークでは有名になったがチャート入りはしなかった。

ルイ・プリマLouis Primaなどの共作で、ゆっくりとしたポップ・ヒットなので、リード・シンガー、ウィリー・ウィンフィールドWillie Winfieldの良さが引き立った。

一方、キャデラックスThe Cadillacsもニューヨーク出身で、チャールス・ブラウンCharls Brownとミルス・ブラザースThe Mills Brothersもレコーディングした「グローリアGloria」を、ボーカル・グループの最高峰に押し上げ、リード・シンガーのアール・スピーディー（あるいは、私たちが目にするのは「スピードSpeedo」）・キャロルEarl “Speedy (Speedo) ”Carroll は、曲のタイトルに出てくる女の子を褒めたたえてファルセットの仲間入りをした。

リード・シンガーのアール・スピーディー（あるいは、私たちが目にするのは「スピードSpeedo」）・キャロルEarl “Speedy (Speedo) ”Carroll は、曲のタイトルに出てくる女の子を褒めたたえてファルセットの仲間入りをした。

キャデラックスもチャートには入らなかったが、殿堂入りした。そしてドリフターズThe Driftersは1954年を「ホワイト・クリスマスWhite Christmas」バージョンで締めくくったが、ドミノーズのアレンジは、クライド・マクファターClyde McPhatterの以前の雇用主たちに負うところが少なからずある。

ただし、クライドがバス・リードを引き継いで、この曲に独自のドラマを演じたことは別で、このことがアービング・バーリンIrving Berlinの弁護士からの申し立てに発展する。

バーリンはわざわざ申し立てをすべきではなかった。というのは、ドミノーズは、この曲を再アレンジしたことによってしっかりした根拠を確立しただけでなく、思いがけず次の2回のクリスマスにわたってチャート・インし、バーリンにお金を稼いでくれたからだ。