第13章
ロックンロール誕生期における10代と大人のジェネレーション・ギャップ
「今日の若者は芯から腐っており、邪悪で、罪深く、怠惰だ。かつての若者とは全く異なるし、これでは我々の文化を守ることもできないだろう」。
3000年前のバビロニアの粘土板
いつの時代も、親と思春期の間にはジェネレーション・ギャップがある。何年も前、考古学者のグループが発見したバビロニアの粘土板は、少なくとも3千年前のものと推定され、「今日の若者は芯から腐っており、邪悪で、罪深く、怠惰だ。かつての若者とは全く異なるし、これでは我々の文化を守ることもできないだろう」と書かれている。
これは、50年代半ばにロックンロールを聴いていたティーンエイジャーについて、アメリカの大人が言っていたこととほとんど同じだ。ロックンロール・ミュージックは、50年代半ば、アメリカの白人の親とそのティーンエイジャーとの間の権力闘争の種となった。
心理学は常に、これを家族のライフサイクルの正常な側面として説明してきた。しかし、音楽が、親とティーンエイジャーとの間のジェネレーション・ギャップや権力闘争に関与したのは、アメリカ史上初めてのことである。言い換えれば、50年代半ばは、ロックンロール・ミュージックが10代の自然に発生した集団的反抗をひき起こしたのである。
黒人のレース、あるいはセプタ音楽は南北戦争以前からアメリカにあった。そして50年代、リズム&ブルースと呼ばれるこの黒人音楽は、白人のティーンエイジャーにとって非常に魅力的なものになりつつあった。リズム&ブルースは、それ以前のレース音楽とは異なっていたし(ダンスにビートも提供していた)、アメリカのティーンエイジャーは第二次世界大戦前のティーンエイジャーとは違っていた。
50年代のアメリカのティーンエイジャーは、教育を求め、無責任に振る舞い(利己的な行動)、自分自身のアイデンティティを求めて反抗する自由と独立性を持っていた。40年代の子供たちは、親の音楽(主にスウィングとビッグバンド)を受け入れ、それに共感していた。
50年代の子供たちは、このリズム&ブルースが自分たちのアイデンティティの一部になることを望み、50年代半ばには、自分たちのものにするために乗っ取った。リズム&ブルースはまだ黒人音楽とみなされ、ほとんどの白人社会では受け入れられないものとして非難されていた。この事実一つを取ってみても、すべての大人とティーンエイジャーとの間の権力闘争を激化させることになった。ティーンエイジャーたちは、夜に毛布の下でラジオを聴いたり、外に出てカーラジオを聴いたりして、ロックンロール・ミュージックを両親から隠していた(バディ・ホリーの両親は、家の中でリズム&ブルース聴くことを禁止したので、彼はトラックの中でこの音楽を聴いていた)。
学校は、ロックンロールを流すならダンスや卒業パーティを中止すると脅した。
ニューオーリンズ市は市民にロックンロールのレコードを買わないように求めた。アメリカ中の田舎町のラジオ局は、ロックンロールは悪魔の音楽だとして、放送中にロックンロールのレコードを壊していた。
1959年、ポップ・カルチャー作家のバンス・パッカードVance Packardは上院通信小委員会に出席し、ロックンロールのディージェイが安っぽい音楽で無防備な若者の心を蝕んでいると証言した。