アート・ラボーArt Laboe(アーサー・エグノイアンArthur Egnoian -1925-現在)、カリフォルニア州ロサンゼルス
アート・ラボーは、西海岸で最初にロックンロール・ミュージックをかけたディージェイだと主張した。ディージェイとしてのキャリアは50年代に始まり、現在もカリフォルニア州とアリゾナ州でロックンロールの多局配信ラジオ番組をいくつか持ち、活動を続けている。ロサンゼルス在住。50年代、アート・ラボーは、ロサンゼルス・エリアの白人ティーンエイジャーに向けて、リズム&ブルースやロックンロール・ミュージックのライブ演奏をよく主催していた。ロサンゼルス市には、18歳未満のティーンエイジャーが日没後に大勢で集まるイベントに参加することを禁止する条例があった。ラボーは、このロサンゼルスの条例がないエルモンテ市のエルモンテ・レギオン・スタジアムThe El Monte Legion Stadiumを選び、ロサンゼルス地域の白人ティーンエイジャーにリズム&ブルースとロックンロールのライブ演奏を主催した。
このエルモンテ・レギオン・スタジアムは、アメリカ西海岸で台頭しつつあったロックンロール文化の美学を反映したものだった。これは、アラン・フリードAlan Freedがニューヨークのステージ・ショーでロックンロールのライブ演奏を主催していたのと同じ時期に行われることになる。
エルモンテで行われた西海岸のリズム・アンド・ブルースの曲には、ドン・ジュリアンとメドウラークスDon Julian and the Meadowlarksの「ヘブン・アンド・パラダイスHeaven and Paradise」、ロージー・アンド・ザ・オリジナルズRosie and the Originalsの「エンジェル・ベイビーAngel Baby」、ペンギンズthe Penguinsの「アース・エンジェルEarth Angel」などがある。
1963年、ペンギンズは「メモリーズ・オブ・エル・モンテMemories Of El Monte」という曲をレコーディングする。
エルモンテは「西海岸のリズム&ブルースとロックンロール・ミュージック発祥の地」と呼ばれるようになる。残念ながら、エルモンテ・レギオン・スタジアムは何年も前に取り壊された。
テネシー州ナッシュビルでは、3人の個性的なディージェイが名を馳せていた。ジョン・R John R、ジーン・ノーブルズGene Nobles、ホス・アレンHoss Allenの3人は白人だったが、黒人のように聞こえ、当初は主に大人の黒人文化に向けて黒人音楽を流していた。
50年代に入ってしばらく経つと、彼らはアメリカ中の白人のティーンエイジャーにブラック・ミュージックを紹介し、大人気となる。これが可能だったのは、WLAC局を使って黒人のレコードだけかけたからで、このラジオ局はアメリカ全土のほとんどの州、そして夜間にはアメリカ国外にも届く強力なラジオ局だった。
とても晴れた夜には、WLAC局はアイスランドやオーストラリアまで届くほどだった。50年代のアメリカでは、ほとんどのラジオ局が夜間の放送電波を縮減していたため、WLAC局はアメリカ全土、そしてそれ以外の国の人々にも電波を届けることができたのだ。