ザ・ドゥーワップ・ボックス Ⅰー89

3-2.ゲット・ア・ジョブGet A Job-シルエッツThe Silhouettes(ウィリアム・ホートンWilliam Horton、リチャード・ルイスRichard Lewis、アール・ビールEarl Beal、レイモンド・エドワーズRaymond Edwards)

The Silhouettesの「Get A Job」をApple Musicで

57年11月ジュニアJuniorのシングルとして発売、57年12月エンバーのシングルとして再発売:R&B1位、ポップ1位

Get a Job by The Silhouettes | Daily Doo WopThe Silhouettes – Get A Job (1958, Vinyl) - Discogs
この曲はタイトル名がその曲を歌ったグループの実生活の事情から生まれた。1955年、フィラデルフィアのゴスペル・トーナドスThe Gospel Tornadosは、僕たち全員と同じ現実――生計を立てる必要性――に直面していて、世俗的な音楽に乗り換えた。ファイブ・サテンズThe Five Satinsをそっくりまねたような話だが、グループ・メンバーのリチャード・ルイスRichard Lewisは兵役で外国に駐留している間に、ポップとR&Bの両チャートでナンバーワンとなる曲を書き、当時の様々なレコード会社に売り込もうとする、よく知られた方法を始めた。

Amazon.co.jp: In The Still Of The Night - The Best Of... The Five Satins  [ORIGINAL RECORDINGS REMASTERED] 2CD SET by The Five Satins (2012-09-11):  ミュージック

努力しても全然うまく行かなかったが、小さなクラブで演奏していると、フィラデルフィアのDJのキー・ウィリアムスKae Williamsが見い出した。

Various Artists - Kae Williams Story / Various - Amazon.com Music

ウィリアムスは小さなレコード・レーベル(聞いたことがないかな?)のジュニア・レコードJunior Recordsを所有していて、グループと契約し、グループ名をかつてのフィラデルフィア・グループのヒット曲のタイトルであるレイズThe Raysの「シルエッツSilhouettes」に変えた。

45cat - The Silhouettes - Get A Job / I Am Lonely - Junior [Philadelphia] -  USA - 391Silhouettes (The Rays song) - Wikipedia

ディック・クラークはジュニアがプレスした見本レコードを手に入れ、ジレンマに陥ったのだが、なぜなら、この曲はヒットする見込みがあるが、その後ろにあるジュニア・レーベルはあまりに小さくて全国ヒットにさせるサポートをできないと分かっていたからだ。その理由だけで、アメリカン・バンドスタンドAmerican Bandstandでこのレコードをかけることを怖がった。

Amazon | American Bandstand: Dick Clark and the Making of a Rock 'n' Roll  Empire | Jackson, John | Rock

全国流通しているヘラルド/エンバー・レコードHerald/Ember Recordsのアル・シルバーAl Silverはその噂を嗅ぎ付けて、ジュニアからリースする手配をし、「ゲット・ア・ジョブ」はバンドスタンドで初めてかかった。伝説によると、ヘラルド/エンバーには正にその翌日、30万枚の注文が入った。
このグループには他のヒット曲がなかったが、この曲は生き続け、その理由は、一つには1970年代のシアター・ロック・グループのシャ・ナ・ナSha Na Naの元になったということと、もう一つには、最初のハッとするほど早口の有名なナンセンス・シラブルのせいだ。正確に歌詞が分かるようになるまでに、あなたは何回この曲を聞いた?

Sha Na Na – Joy Presents Sha-na-na's Greatest Hits (1977, Vinyl) - Discogs