1-14.アース・エンジェルEARTH ANGEL(Will You Be Mine)-ペンギンズThe Penguins(ジェシー・ベルビンJesse Belvin、カーティス・ウィリアムスCurtis Williams、ゲイネル・ホッジGaynel Hodge)
54年9月ドゥートーンDootoneのシングルとして発売:R&B1位、ポップ8位
50年代初期のポップ・ミュージック批評家の話を聞くと、ボーカル・グループはすべて音楽的な知識がないと言っているが…それは白人グループのことを言っているのだ!
ペンギンズPenguinsの超アマチュアっぽい「アース・エンジェルEarth Angel」について批評家がどう考えているかを想像してご覧なさい。さらに、同じように未熟なファイブ・サテンズFive Satinsの「インザ・スティル・オブ・ザ・ナイトIn The Still Of The Night」とともに、この曲は今までで最も人気のあるポピュラー音楽であり、このことは売上の数字でも、数えきれないラジオ局の調査でも確認済みだ。
ペンギンズThe Penguins(この名前はクールという紙巻きたばこの箱のアイコンからとったもの)は、ロサンジェルスのフレモント・ハイ・スクールFremont High Schoolで結成され、この学校は、メドウラークスThe MeadowlarksやドゥートーンズThe Dootoonsなどのグループ、ジェシー・ベルビンJesse Belvinなどのシンガーを輩出している。
この曲自体は、一部がルネッサンス期のR&Bのジェシー・ベルビンの、一部が「アイ・ウェント・トゥ・ユア・ウェディングI Went To Your Wedding」という曲のハリウッド・フレイムスThe Hollywood Flamesの演奏の、そしてまた一部がグループ・メンバーのカーティス・ウィリアムスCurtis Williamsの努力のおかげである。
ドゥートーン・レーベルDootone label会長のドゥツィー・ウィリアムズDootsie Wiiliamsは既にこのグループで1面目をレコーディングし、もう1セットを録音するために自分のガレージに彼らを連れて来たそしてこれは本当の『ガレージ』レコーディングで、若いボーカリストが負けないようにドラムを枕でくるんだ)。
未完成のデモ盤を手に入れ、後日楽器をすべてオーバーダブするつもりで、ドゥツィー・ウィリアムズはラフにダビングしたものを持って、急いで意見を聞くために、サウスセントラルLAにあるジョン・ドルフィンFohn Dolphinのドルフィンズ・オブ・ハリウッド・ストアDolphins Of Hollywood storeに持ち込んだ。
ドルフィンはこの曲を気に入り、店内のDJのディック・ハギー・ボーイ・ハグDick “Huggy Boy” Huggに渡してすぐに放送させた。
当時ハグはレコード店の正面のウィンドウから直接放送し、自分のレーベルを持っていたドルフィンは、店内放送を使って自分のレコードをすぐにかけた。
「アース・エンジェル」はもちろんすぐにリクエストをもらい始め、ウィリアムスはできるだけ早くシングルを生産しなければならなくなって、楽器をオーバーダビングするのはやめにした。残ったのは今みんながわかっていて好きなところ――スタンダードになる伴奏によって進行する信じられないほど純朴で超無邪気なラブソング――ピアノ3連音符――と、何の特徴もないいくつかの『オー』とか『ワー』と言ったバックの声だ。レコード・プロデューサーのウェイン・スティアールWayne Stierleは、この曲が初めて放送されたときに聞いたレコードの印象を、この小冊子の他のところでも続けて説明している。