1-2. カウント・エブリ・スターズCOUNT EVERY STAR-レイブンズThe Ravens(ブルーノ・コクアトリックスBruno Coquatirix/サミー・ギャロップSammy Gallop)
50年4月ナショナルNationalのシングルとして発売
オリオールズThe Oriolesは、リズム&ブルースのスタイルと認められる形でレコードを出した最初の黒人ボーカル・グループだったかもしれないが、”It’s Too Soon To Know”より数か月前に黒人音楽の社会で別のグループが評判になった。
ニューヨークのグループ、Ravensは大抵ポップ・ジャズ・スタイルで歌っていて、40年代後期の彼らのヒット曲の中に、イディッシュのナンバー、「マーゼルMahzel」があった。
しかし、1947年、彼らはブロードウェイの演劇ショーボートShowboatの中の新鮮味のない「オールド・マン・リバーOld Man River」をレコーディングしたが、標準のスタイルから著しく逸脱していたのは、バス・シンガーのJimmy Ricksの声をとてつもなく目立たせて、楽曲のリードにしたことだ。
3年後、黒人社会でポップ調の曲が好調を続ける中、Ravensは結果的にドゥーワップと呼ばれる音楽形式の先駆けとなる楽曲をレコーディングしたが、それが「カウント・エブリ・スターズCount Every Star」だ。今なお、この古い曲からドゥーワップの要素――バックやハーモニーにおけるバス、ライト・ファルセットなど――を聞き取ることができるし、この曲は1950年というよりは1953年の曲のように思えるのだ。
ほとんどの部分において、レイブンズThe Ravensは今日のいわゆるドゥーワップよりもポップに近いサウンドに近いが、40年代後期に伝統的黒人ポップ・ミュージックから最初に決別した時に役だち、一般的にこの形のパイオニアと考えられている。ちなみにこのCDは、このクラシックな楽曲の最初のCDということになる。