さて、レコードのもう一面に別の曲が必要になり、カールが一つの曲を急いで作ったのだが、それは最初の数小節のコード進行が変わっているのでバンドのメンバーはあまり好きではなかった。


カールはこの時までに自信を持ち、「ブルー・スエード・シューズ」で気分が乗っており、バンドに気合を入れた後、「ハニー・ドントHoney Don’t」という曲を3テイク録り終えた。
これもロック・ミュージックだったが、ブルー・スエード・シューズほどは熱狂的ではなく、サムは3テイク後にうまく録れたと思った。それでも、今はバンドの連中の気分が良かったので、もう少しカール・パーキンスの曲を録っておくために、もう2曲バンドにレコーディングしてもらった。「シュア・トゥ・フォールSure to Fall」はジェイとのデュエットのカントリー・バラードでうまい演奏だった。
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![Carl Perkins – Sure To Fall – Vinyl (7", Single, Reissue), [r5546670] | Discogs](https://i.discogs.com/T144HdZtiX1BQE-sGEUjTYwvGI3KA_691vlwHQNLCrA/rs:fit/g:sm/q:40/h:300/w:300/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTU1NDY2/NzAtMTM5NjE4OTIy/NS0yNzg5LmpwZWc.jpeg)
その次は故郷の州に捧げてカールが書いたとても変わった曲だった。それは「テネシーTennessee」という曲で、多くのことを称賛し、「音楽に関しテネシーの功績を称える」ように求めるコーラスがあったが、こともあろうに、最初の原子力爆弾がテネシー州で製造されたという歌詞で締めくくっている。
![Carl Perkins – Tennessee – CD (Compilation), 2004 [r6379146] | Discogs](https://i.discogs.com/n1JfYGyQvq0S-tLm7pKU66dRBzZE14Jw4aDgB9Bjvn8/rs:fit/g:sm/q:40/h:300/w:300/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTYzNzkx/NDYtMTQxNzc5NTM0/NC05MjM4LmpwZWc.jpeg)
(オークリッジ国立研究所Oak Ridge National Laboratoryは、確かに、最初の2発の爆弾に使われたウランを精製した。)


その後、バンドは自分たちの車に一斉に乗り込んでジャクソンに戻り、早朝到着した。サムの方はすでに仕事に取り掛かり、デューイ・フィリップスDewey Phillipsに電話をかけて「またヒット曲ができた」と伝えた。

サムはマスター・テープを作り、プレス工場に2枚のレコードのスタンパー盤を送る注文を出した。

その2枚とは、「ブルー・スエード・シューズBlue Suede Shoes」、そのB面は「ハニー・ドントHoney Don’t」、そして、「テネシーTennessee」、そのB面は「シュア・トゥ・フォールSure to Fall」だった。サムは最初の1枚を1956年1月1日にリリースし、2枚の78回転盤を郵便でカールに送った。届いた時にレコードは壊れていた。カールはレコードをどうしても手に入れてみんなにかけてやりかったので、町に行き、いつも弦を買っていて、店主がギブソン・レス・ポールGibson Les Paulのギターを安く売ってくれた音楽店に入ってレコードを注文した。

カールは自分の見ているものが何か分からなかった。「違うんです。それは僕のレコードじゃない。僕のは大きくて、そこには小さい穴があるんです。」とカールは店主に言った。カールはかつて45回転盤を一度も見たことがなかったので、ひどくがっかりした。78回転レコードは誰でも知っているが、45回転レコードは見かけが全く違っていた。


店主はカールに、新しいレコードはすべてこんな格好で、今ジュークボックスにはこれが入っている、と言ったが、そんなことはカールにとって関係ない。そのレコードじゃあ、家でかけることができない。カールの妻がなだめた後、カールは音楽店まで運転して戻り、複数段階速度のレコード・プレーヤーとそれにかけるレコードを一枚買った。