第12章
1960年 オールディーズ、ニューイーズ、ペイオーラ
1959年最終週に、アトランティック・レコードAtlantic recordsはレイ・チャールズRay Charlesのシングルをリリースした。「アイム・ムービン・オンI’m Movin’ On」はカントリーの曲で、オリジナルは1950年のハンク・スノーHank Snowがレコーディングしたが、チャールズがこの曲を知っていても驚くことは無い。


チャールズは、キャリアの初期、シアトルで困窮した時期があって、就くことのできた音楽関係の仕事はカントリー・バンドのピアニストしかなく、特に当時はこれといった黒人向けラジオ局がなくて、南部出身の黒人は「グランド・オール・オプリGrand Ole Opry」の放送が始まると、集まって聞いた。


しかし、意図的であろうとなかろうと、このレコードはメッセージ性を持っていた。1960年、レイ・チャールズRay Charlesは、アトランティックAtlanticでは対抗できない、そしてするつもりもない契約をABCパラマウントABC-Paramountと締結した。

チャールズは年5万ドルを保証され、自分の歌う曲を選ぶことができ(そしてオリジナル曲であれ契約曲であれ、自身の出版社を使え)、印税は75-25でパラマウント社と分けるという契約だ。巨大なネットワークと大きな映画スタディオを所有するレコード会社だけが、25%しか受け取らなくてもやれる余裕があるのだ。アトランティックはエルビスでも競り負け、そして今度は、つらい時期に汗をかき支援して有名にさせたスターを逃してしまった。しかし、これがビジネスの世界の現実だ。アトランティックはレイ・チャールズのような新しい大スターを見つけざるを得なくなったのだが、難しい注文だ。しかし、しばらくの間はレイの歌った完成済みの良い曲があるので、年間を通じて少しずつリリースすることとなった。
より良い条件のレコード会社を探し求めていたのはレイ・チャールズだけではなかった。ビルボード誌12月14日号の目立たないページなのでほとんど気づかれなかったが、ナット・ケンドリック&スワンズNat Kendrick and The Swansの「ザ・マッシュトゥ・ポテイトースThe Mashed Potatoes」というレコードの寸評があった。
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![Nat Kendrick And The Swans – (Do The) Mashed Potatoes – Vinyl (7", 45 RPM), 1960 [r2136253] | Discogs](https://i.discogs.com/yyHcifII10sj657Yez1x5QxP3gEPpcK7fG2s554Lf20/rs:fit/g:sm/q:90/h:600/w:600/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTUzNTAx/ODMtMTM5MTIwNDU2/OC0zMTk3LmpwZWc.jpeg)
それによると、ケンドリックはジェームス・ブラウンのドラマーとして知られており、ジェイムズは次のヒットを待ちながら絶え間なくツアーに行っていて、「ナイト・トレインNight Train」のようなインストゥルメンタルでも、ボーカルと同じくらい有名になりつつあった。


