それでも、ヘイリーの成功によって、わいせつ危機と白人の若者が黒人のレコードを買うという問題に対する一つの解決策が見いだせたのだが、それがカバー・バージョンだった。
これは、他の人のレコードを録音し直すという業界用語で、その歴史はほとんどの人がレコードによって歌を聞く以前の1920年代という大昔にさかのぼる。コーズThe Chordsの「シュブーンSh-Boom」は、素晴らしいし受けそうだが、それでいて扱いにくい曲なので、マーキュリー・レコードMercury recordsは白人グループのクリュー・カッツThe Crew-Cuts(以前の名前はカナデアーズThe Canadaires)にカバー・バージョンを録音させ、危うくコーズのバージョンを打ち負かすほどヒットした。



![The Crew-Cuts – Sh-Boom / I Spoke Too Soon – Vinyl (Scranton Pressing, 7", 45 RPM + 2 more), 1954 [r7119658] | Discogs](https://i.discogs.com/sVC7hUOxtlCyqY1cCs2zxu0tL-65HWiayJFHBUczCyc/rs:fit/g:sm/q:90/h:599/w:600/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTcxMTk2/NTgtMTQzNDE0NzEw/MS00MDYzLmpwZWc.jpeg)
危うく、と言ったのは、両方ともトップテン入りし、クリュー・カッツ版は1位になったのだ。ルース・ブラウンRuth Brownは、この夏に「オー・ホワット・ア・ナイトOh, What a Dream」というかわいい曲を、チャートに載せている。
![Ruth Brown And Her Rhythmakers With Orchestra – Oh What A Dream / Please Don't Freeze – Vinyl (7", 45 RPM, Single), 1954 [r2632766] | Discogs](https://i.discogs.com/8f75k2flKlP8yswnrfy7oLTX6IvCVTiY8fl59UOcd08/rs:fit/g:sm/q:40/h:300/w:300/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTI2MzI3/NjYtMTY2NzM5MTMx/Ny04MzE5LmpwZWc.jpeg)
パティ・ペイジPatti Pageがすぐにカバーしたがヒットしなかった。

これまでのところ、カバー・バージョンは脅威ではなかった。しかし、それはすぐに変わることになる。もちろん、手に負えないアーティストに対処する方法は別にあり、クライド・マクファターClyde McPhatterは5月に徴兵されたのだ。

幸いにもリリース可能な録音素材があったので、ドリフターズThe Driftersは影響を受けなかった。
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というのは、アトランティックはマクファターをグループから外し、ソロ・アーティストとしてレコーディングをスタートさせ、グループにはその代わりに、声の似ているリトル・デイビッド・ボーガンLittle David Baughanを入れたのだ。

