ジェリー・リー・ルイスJerry Lee Lewisの方はヒットを出していて、最初は「ブレスレスBreathless」だったが、次の「ハイ・スクール・コンフィデンシャルHigh School Confidential」のタイトルとなった理由は、同名の映画の冒頭にその曲を演奏したからだ。





映画のアクション(マリファナ、セックス、セクシー女優のマミー・バン・ドーレンMamie van Dorenの下劣な話)が繰り広げられる高校の前で、ジェリーはバンドと一緒に平床式トラックの上でアップライト・ピアノを演奏したのだった。

5月にはイギリスのプロモーターがツアーを企画し、ジェリー・リーは妹のリンダ・ゲイルLinda Gail、新妻のマイラ・ゲールMyra Gale、その両親などを一緒に連れて行った。

アメリカのスターにはよくあることだが、空港で記者会見が行われ、マイラは夫と一緒にスポット・ライトを浴びたがった。これが良くない考えだった。二人は12月にミシシッピ州で結婚したのだが、サムとジャドのフィリップス兄弟は二人ともジェリー・リーに秘密にしておくように説得した。

一つには、以前の二人の妻の地位がはっきりせず、そのうちの一人とは離婚が成立していないのだ。もう一つは、マイラ・ゲールがジェリー・リーのみいとこで、彼女の父親はジェリーのベーシストだった。ヒースロー空港で、ツアー・マネージャーとして同行したジャド・フィリップスは、記者団に話に行っている間はマイラを後に残しておくように勧めたが、マイラは彼のそばにいたがり、ジェリー・リーはジャドに「いいかい、みんな僕を求め、僕のところに来るんだ。大丈夫だ。」ジェリー・リーの新マネージャー、オスカー・デイビスOscar Davisはジェリーに懇願したがジェリーは頑として譲らず、記者会見に出て行った。
すぐにリポーターたちは、その女の子が誰かと聞いた。「この人は妻のマイラ」とかばうようにして言った。次の質問は彼女が何歳かということだった。「15歳」とジェリー・リーは言った。すると誰かが「少し若くないですか」とマイラに聞くと、マイラは「いいえ、全然。故郷では年は関係ないの。夫を見つけられれば10歳で結婚できるわ」と明るく言った。(これは間違いで、ミシシッピ州の結婚承諾年齢は17歳で、彼女は挙式を執り行う判事に、自分は20歳だと言ったのだ)記者会見のニュースが全米に伝わると、メンフィス紙のレポーターが少し丹念に調べ上げ、彼女は15才では全くないことを突き止めた。彼女は13歳で、フィリップス兄弟の疑念は的中した。
そしてジェリー・リーの最後の離婚は今後5か月間完結しないのだ。ツアーの最初のコンサートは悲惨で、満員の25%しか入らず、空席が上回った。翌晩は、ブーイングで妨害する人たちが、意気地なしとか幼児略奪者とヤジった。次の夜に公演はなく、プロモーターはツアーをキャンセルしアメリカ人たちは飛行機で帰国したが、その前に空港でレポーターとカメラマンに囲まれ、そこでジェリー・リーはカメラマンの一人を蹴ってしまった。それはアメリカでも同じで、ジェリー・リーは本国送還されたわけではないと言い張り、事実もそうではなかった。そして、ホームシックになったと言っていて、それはそのとおりだったのかもしれないが、それで帰国したわけではない。彼の新婦が少し若いという問題に関しては、ジェリー・リーは腹の虫がおさまらず、「大事なことは、彼女が一人の女性だということだ。」と言ってつかつかと立ち去った。
