クリスマス・イブの日にエルビスは徴兵委員会に嘆願書を送ったが、そこにはこうあった。直ちに行く準備はできているものの、パラマウントは映画製作準備費用としてすでに数十万ドルを投入しているので、映画が完成できるように60日間入隊を遅らせることを依頼した。委員会は待つことに同意した。しかし、ある訪問者は、エルビスがいつもの陽気なエルビスでないことに気づいた。グレイスランドを訪れていた彼は、ドアベルが鳴るとエルビスが小包に受け取りのサインをし、部屋に戻るとそれをソファに放り投げた。やがて、訪問者が、それを開けないのかと尋ねると、エルビスは開けた。「ああ、そうか。ゴールド・レコードだ。」とエルビスは言った。
エルビスは表向き機嫌のよい顔をした。軍隊に入ることに関し、「ちょっと自慢なんだ」と言った。「任務を全うする義務がある、だから、そうするよ。」しかし最初にやらなければいけないのは映画作りなので、エルビスとメンフィス・マフィアMemphis Mafiaは荷物をまとめてカリフォルニアに行き、そこで、「カサブランカCasablanca」と「幸せの代償Mildred pierce」を作ったマイケル・カーティスMichael Curtiz監督に報告し、「キング・クレオールKing Creole」の仕事にとりかかった。



同時に、というかむしろ撮影現場の中で、リーバー&ストーラーの曲を、二人の指導の下にサウンドトラック・アルバムとしてレコーディングしていた。
![The Songs Of Leiber & Stoller [Import]](https://m.media-amazon.com/images/I/71akact8amL._UF1000,1000_QL80_.jpg)
RCAはエルビスが入隊している間にリリースできる音源をしこたまため込もうとしたし、エルビスもレコーディング中は二人の作家にスタディオにいてほしいと、いくらか迷信のように思っていて、あまり時間がなかったので、RCAは最後のセッションを2月1日にスケジューリングした。残念ながら、ジェリー・リーバーはニューヨークにいてひどい肺炎からの回復途中で、医師は旅行を認めなかった。

すると大佐はリーバーを脅し始め、リーバーが具合の悪い間に大佐が送った出版契約書にサインしたかどうかを尋ねた。リーバーは、一部は見たが全部ではないと答え、パーカーは残りを読むように勧めた。一つのページは空白で、大佐の署名とリーバーの署名欄があった。「気にするなよ、そこは後で埋めよう」とリーバーはアドバイスした。あんまりの仕打ちだ。「私たちは二度と一緒に仕事をすることは無かった。そういうことだったんだ。話し合うこともなかった。」とリーバーはいった。「ハウンド・ドッグHound Dog」を書いたリーバー&ストーラーは、大佐の力わざのせいで、蚊帳の外に置かれた。
![Elvis Presley – Hound Dog – Vinyl (V 3, 7", 45 RPM + 2 more), 1969 [r8058731] | Discogs](https://i.discogs.com/JxknPv8v8qFBoJj2F2VtoeQ_A6qM9CQKZcALRHq2mB8/rs:fit/g:sm/q:90/h:591/w:600/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTgwNTg3/MzEtMTQ5NDI0MzU1/MS00ODMxLmpwZWc.jpeg)
![Elvis Presley – Hound Dog / Don't Be Cruel – Vinyl (7", 45 RPM + 2 more), 1976 [r2998899] | Discogs](https://i.discogs.com/ubp_j1fWXXg7koHlM0yK8DHZ6kR9zPHrRFOyzGzPjd0/rs:fit/g:sm/q:90/h:600/w:600/czM6Ly9kaXNjb2dz/LWRhdGFiYXNlLWlt/YWdlcy9SLTI5OTg4/OTktMTMxMTE1MDk4/Mi5qcGVn.jpeg)
これは、大佐が金を稼ぐために、エルビスをルーツから引っこ抜くたくさんの事件の始まりに過ぎなかった。