音楽の混とん状態が広がりを見せる中で、9月にジャズ・ピアニストのデイブ・ブルーベックDave Brubeckがリリースしたアルバム「タイム・アウトTime Out」は、あまり売れなかったが、仕掛けがあった。


そのアイデアは、ジャズで広く使われている4/4拍子や2/4拍子ではなく、珍しい拍子記号の曲をたくさん録音したことだ。このことは時々起こっていて、ファッツ・ウォーラーFats Wallerの「ジターバグ・ワルツJitterbug Waltz」はその典型であり、
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ブルーベックは白人の知的ジャズ(黒人の支持者もたくさんいた)のウェスト・コースト・「クール」West Coast “cool” 集団の出身だった。

「タイム・アウト」は、ハイファイ・マニアがこのアルバムを評価した以外は、気づかれないうちに過去のものになったかもしれないが、コロンビア・レコードColumbia recordsがなぜか「テイク・ファイブTake Five」という5/4拍子の曲をアルバムからカットしシングルとしてリリースした。

ほとんどのジャズ・アーティストは都会の黒人用ジュークボックス市場向けにシングル盤をリリースしていたが、ラジオでかかることはほとんどなく、たいていはジュークボックス・バージョン向けにアレンジされ、ジャズ・ラジオはむしろアレンジされない曲をかけていた。変拍子にもかかわらず、ポップスのラジオで受け入れられ、ポール・デスモンドPaul Desmondのアルト・サックスが、変わったジャズ演奏をバックに人の心をとらえるメロディを奏で、ポップ・チャートの25位まで上がった。

カリフォルニアの方では、ニューポート・ビーチの一部、バルボア半島で、あるシーンが生まれつつあった。1920年代、ジョージ・フリートという男が、ロサンゼルスの路面電車をビーチまで普及させるために波乗りをしてから、この地ではサーフィンが行われるようになったのだが、本当に流行したのは、第二次大戦後、社会復帰することが難しい大勢の退役軍人が一種の治療法として使ってからだ。独りで水辺に住んで、自立するために雑用を引き受け、人間と海の一対一の生活共同体(したことがなければ説明ができない)のために生きていた。この連中は打ち寄せる波の良いところに住むので、カリフォルニアでは、サンタ・クルーズの南から国境を越えてバジャまでを指す。彼らは独自の言葉と文化を持ち、その結果サーフィンを独自ルールのあるスポーツに変え、ボードを軽くなるようにし、流体力学に対応でき、ボードの前の方まで歩いて行ってその上で足の指をぶらぶらさせる『ハンギング・テンhanging ten』などの技を開発した。サーフィンで大事なことは面白そうということで、この連中のなかには、覚えたがっているティーンエイジャーたちに指導する者もいた。
