ザ・ドゥーワップ・ボックス Ⅰー117

4-6.ステイStay-モーリス・ウィリアムスとゾディアックスMaurice Williams & The Zodiacs(モーリス・ウィリアムスMaurice Williams)

Stay (Maurice Williams song) - Wikipedia

60年8月ヘラルドHeraldのシングルとして発売:R&B3位、ポップ1位

Maurice Williams & The Zodiacs – Stay (1960, Vinyl) - Discogs

最初は気が付かないが、この曲は最近50年間にリリースされたヒット・レコードの中で最も短いものの一つで、時間を測るとたった1分37秒しかない。たくさんのものが盛り込まれ、レコ―ディンが非常に自然なので、レコードが短いことに気が付きにくい。

モーリス・ウィリアムスは当時、ソングライターとしての才能があったのに実際には歌ってもらえない人の一人だった(そして残念ながら、その後もそうだ)。ウィリアムスは既に最初のグループのグラディオラスThe gladiolasにおいて、オリジナルの「リトル・ダーリンLittle Darlin」を1956年後半にエクセロ・レコードExcello recordsから出した時に、成功を味わっていた。

Maurice Williams & The Gladiolas, Maurice Williams & The Zodiacs – Little  Darlin' (Vinyl) - DiscogsThe Gladiolas – Little Darlin' (1957, Vinyl) - Discogs

グループとエクセロの契約が1959年に切れた後、レーベルがグラディオラスという名前の所有権を何とかして額得したことが判明し、ウィリアムスはグループのために新しい名前を見つけざるを得なかった。ゾディアックという名前のヨーロッパの自動車のことを読んだ後、名前を変更して、モーリス・ウィリアムスとゾディアックスが継続している。

いくつかの小さなレーベルでたくさんレコーディングした後、二人のレコードプロデューサーと知り合いになって、サウスカロライナ州コロンビアにある古いテレビ・スタディオでセッション録音をした。その曲の中には、ウィリアムスの別のオリジナルの「ステイ」があり、ニューヨークに本拠地を置くヘラルド・レーベルHerald labelのアル・シルバーAl Silverは、1960年春にその曲を渡されたとき興味を持った。シルバーは2つの変更を主張したが、それは煙に関する1行を削除することと、全く異なるリズム変更(デモは「滑らか過ぎ」)だった。最終的に夏遅くにリリースされると、レコードは全国のナンバーワンに着実に上って行った。

このレコードには、何か得体のしれない魅力的な何かがまだあった。たぶんそれはウィリアムスの独特な声で、「リトル・ダーリン」では現れないような声だがここでは現れたものか、荒っぽく録音され、分厚くて心を掴むようなリズムであったからか、あるいは、曲全体を通してグループ全体が過度に懇願しているからか、これら全部とそれ以上のものだったからかもしれない。モーリス・ウィリアムスとゾディアックスは次に、60年代を通じて数多くの優れたレコードを出したが、「ステイ」ほどヒットすることは無く、その中には60年代後期のビル・ディールとロンデルスBill Deal & The Rhondelsのヒット曲の「メイ・アイMay I」もあったが、「ステイ」をレコーディングした時に見た魔法を再び完全にとらえることはできなかった。

BILL DEAL & THE RHONDELS / May I / Day By Day My Love Grows Stronger レコード通販  soft tempo records

1978年にジャクソン・ブラウンJackson Browneはこの曲でヒットさせたが、そのアレンジは1960年のオリジナルに比べ、夢遊病のようだった。

JACKSON BROWNE - CUYAHOGA FALLS 1978(2CDR)