カントリー・ミュージックさえも目覚め、再びシャキッとしたようで、7月末のカントリー・レコードの上位3曲は、バック・オーエンスBuck Owensの「アクト・ナチュラリーAct Naturally」、新しい恋人でそろそろカーター・ファミリーの第2世代になるジュン・カーターJune Carterが書いてくれた、ジョニー・キャッシュJohnny Cashの「リング・オブ・ファイアRing of Fire」、そして、デーブ・ダドリーDave Dudleyの「シックス・デイズ・オン・ザ・ロードSix Days on the Road」はトラック・ドライバーの生活を描いた曲で、それによってカントリー・ソングの新ジャンルが始まった。
トラック・ドライバーがそんなにたくさんレコードを買うとは思わなかった。そしてこれらのシンガーに混ざって、シンシナティ出身の新顔のロニー・マックLonnie Mackが、変わったギブソン・フライングVギターGibson Flying V guitarで演奏したインストゥルメンタルである、チャック・ベリーChuck Berryの「メンフィスMemphis」とロニー自身の「ワム!Wham!」が放送された。
実はフォーク・ミュージックはポップ・チャートには姿を現さなかった(ジョーン・バエズJoan Baezの最近のツアーは10万ドルの総興行収入をあげた)が、ピーター・ポール・アンド・マリーPeter , Paul &Maryは、ボブ・ディランBob DylanのアルバムのフリーホイーリンFreewheelin’の1曲目で、チャド・ミッチェルChad Mitchellがしくじった「風に吹かれてBlowin’ in the Wind」はチャートに載せ、同じアルバムから、「くよくよするなよDon’t Think Twice, It’s All Right」を続けた。
そして、フォークシンガーのオスカー・ブランドOscar Brandは、『不安を抱きながら』フーテナニー・テレビ・ショーの出演することを決めたが、「ピート・シーガーがバンジョーで政府を転覆させようとした証拠を見たことが全くない」と語った。
シンシナティで、WCPOは「いかにもフーテナニーらしい」番組制作だと発表した。
このフーテナニーの過度な行動は、今から振り返るとばかばかしく見えるかもしれないが、この象徴的な変化は、レコードを買うアメリカのティーネージャー――そして、アメリカのティーネージャー全体――の心を捕まえた。大雑把に言うと、「風に吹かれてBlowin’ in the Wind」を歌う人達と、「マイ・ボーイフレンズ・バックMy Boyfriend’s Back」を歌う人達の間には分断がある。「
風に吹かれてBlowin’ in the Wind」は、態度をはっきりさせない歌ということで有名だが、重要な問題や理にかなっていない状況について多くの問題を投げかけ、それから、答えはどこかに、風の中にあると言っている。しかし、この曲は、どんなに漠然としていても、そういった質問を発している。この曲は何か新しい。さらに、フォークというものは参加することで、それがカーネギー・ホールKarnegie Hallで観客がピート・シーガーと一緒に歌うことであれ、ギターを抱えた大勢の子供たちが地下で好みの曲を歌い合うことにせよだ。
ピーター・ポール・アンド・マリーPete , Paul &Maryの「風に吹かれてBlowin’ in the Wind」のアレンジは好きじゃなかった?
自分でアレンジを考え出せばよい。あるいは、ついでに言えば、自分で作曲すればよい。そこで人々はギター(あるいはバンジョー――ピート・シーガーの教本がこれほど売れたことはなかった)を買い、集まって演奏した。
この動きはニューヨークのワシントン・スクエア・パーク(ここではフォークシンガーが禁止されて暴動になった)でも起こり、長く続いたために、「フォークの像」がここに企画されているというニュース記事も出た。
(何も起こらなかった。)しかし、ティーネージャーは社会との関わりを求め、公の場で行動したのだが、それは全く新しいことだった。それは捉えようによっては怖いことでもあり、また、楽観的にもなる要因だった。