スタディアム・ショーのあと間もなく、ジョン・レノンJohn Lennonはジャカランダthe Jacarandaにいて、ウィリアムスAllan Williamsのところに歩いて行き、「アラン、僕たちのために何かしてくれませんか?」と言った。
「僕たち」とはジョンとストゥワート一緒にやっているバンドのことだとジョンが説明すると、ウィリアムスはオーディション・スケジュールを話し、バンドにはドラマーがいないと聞いて、一人つけると提案し、カスCassが倉庫で働いていた29歳のトミー・ムーアTommy Mooreを見つけ出した。
しかし、オーディション当日、ムーアは仕事からなかなか抜け出せず、ビートルズは頼み込んで演奏を後へ後へと遅らせてもらったが、結局は何かせざるを得なくなり、他のグループのドラマーの一人に代理を務めてもらい、ムーアが到着して最後の2曲は間に合った。リンゴ・スターRingo Starrとジョニー・ギターJohnny Guitarが現れて演奏を採点したが、全く感動しなかった。
どうやら、パーンズも同じ印象だった。しかし、ここで緊急事態が発生した。スコットランドでのジョニー・ジェントルJohnny Gentleの出演が1晩から9日間へと変更になり、グループが必要になったのだ。
カサノバスthe Cassanovasは手伝いたいのはやまやまだったが、ニュー・ブライトン・ピアthe New Brighton Pierで日曜夜のレギュラーの仕事があって、それをキャンセルするわけにはいかず、他の日のうち1日は、キャバーンthe Cavernの最初のロック・ナイトRock Nightでロリー・ストームとハリケーンズRory Storm and the Hurricanesの前座の仕事があった。
ウィリアムスはすぐにストゥに電話をして、ストゥStuのグループができるかどうかを聞き、出演料は1週間で大枚75ポンドだったが、ドラマーを入れる必要があった。
トミー・ムーアTommy Mooreは幸運にもお金が好きなので、この仕事を引き受けた。ほかのビートルズ・メンバーは、―ポール、ストゥ、ジョンの場合―学年の最後の方の1週間、ジョージの場合は仕事を1週間休むことになったが、それを取り戻すために様々な工夫をした。
素晴らしい1週間だった。バンドのほとんどのメンバーは偽名―ポール・ラモンPaul Ramon、ストゥアート・デ・スティールStuart de Stael、カール・ハリソンCarl Harrison―を使い、それでも彼らとジョニー・ジェントルJohnny Gentleは、ほとんど練習していないのに、女の子からキャーキャー騒がれた。8日間で7回出演したが、ある時、ジョニー・ジェントルJohnny Gentleとレノンがぶらぶらしていると、ジョンが曲の作り方をgentleに教え―その後gentleはレノンのクレジットを入れずにレコーディングした―、何の気なしにファンと出くわして、そのうちの一人が、ファンの破ったレノンのシャツを繕ってくれた。10日後、リバプールに戻ってきたが、パーンズの第3レベルのスターのバック・バンドとしての生活はどんなものかを自ら経験した。戻ってきて問題が発生した唯一の人間がジョージGeorge Harrisonで、仕事を首にされてしまった。
トミー・ムーアはしばらくの間、彼らと一緒だったが、結局ガールフレンドが彼氏には定収入を望んだので、ある日トミーは演奏の仕事に来なくなり、アラン・ウィリアムスや他のメンバーが何も言えなかったので、トミーの気持ちが変わってしまった。様々なドラマーが参加したが、ノーマン・チャップマンNorman Chapmanはもし徴兵されなければ、うまくいっていたかもしれない。
しかし基礎的事実は、アラン・ウィリアムスがビートルズにプロの仕事を取ってきて、自分も報酬の上前をはね、今やビートルズのマネージャーになった。そんなわけで、8月8日、アランはコシュミダーKoschmiderから電話をもらって、インドラというもう一つのクラブを開くので1週間余りのうちにバンドを必要とするというので、アランはビートルズを提案した。
アランがコシュミダーに言わなかった一つのことは、ビートルズにはドラマーが必要だったということだ。その時、誰かがベストさんMrs.Bestの息子のピートPeteを思い出させた。
ピートはあるバンドで演奏していたがその後やめて、彼のドラムは彼女の経営しているクラブから階上へと保管した。あまりにも出来過ぎた話だが、家の周りをうろついていると、ウィリアムスとビートルズが現れて無理やり遠征に参加させたのだった。8月15日、彼らは晩に無理に乗り込み、バンドが昔しばらくの間やっていたジョークを復活させた。「どこに行くんだ、ジョニー?」とみんなが唱えると、レノンが答えた「最もポップなところのトップへ」と答えた。